人と人とのお互いの主観のあいだで共有される心的現実を間主観的現実(intersubjective reality)といい、それを成り立たせているもとになるものを間主観性(Intersubjectivity)という。ストロロウは間主観性から継続的共感などの治療機序を導き出し、スターンは主観的自己感における共同情動を明らかにするなど、現代の精神分析の臨床的な研究において最も重要な概念の一つとなっている。
事後性 [編集]
精神分析的な治療を成り立たせる重要な概念の一つ。
ある出来事を経験したとき、まだその経験の意味を味わうだけの心の準備が整っていないために、そのとき同時的にはその経験の意味を理解できないことが多い。しかし後になって、その意味を咀嚼する力が培われてきて、過去の出来事の意味を理解することができる。これを遡行作用(deferred action)と呼ぶが、これを可能にしている、さかのぼって過去の出来事の意味を理解する心の作用を事後性(独:Nachtraglichkeit)という。これなしでは、自由連想法その他で過去の回想をおこなっても、なんら治療的な力にならない。
甘え [編集]
土居健郎によって精神分析的な概念として提起され、精神依存とは区別されるものとして推敲されつつ今日に到っている。乳幼児の母親に対する愛着は、人間である限り文化の違いを超えて存在する普遍的現象であるが、日本社会のなかで大人のあいだに見られる甘え(amae)は、それとは異なる人間関係の一形態であり、文化論である。
両価性 [編集]
同一の対象に対して、愛情と憎しみなど対極的な情緒や態度を示す心的体験を両価性/アンビバレンス(ambivalence)という。ブロイアーは今日でいう統合失調症の心性をあらわす語として用いたが、フロイトは神経症や正常な人の情緒のあり方にも使用範囲を広げ、いまでも後者の用い方が一般化している。
生の本能・死の本能 [編集]
第一次世界大戦によってヨーロッパが壊滅的な破壊を経験されたのを目撃したフロイトは、なぜ人間が自らの種族保存に不利なはずの戦争のような行為をおこなうのか、ということに興味を持った。その結論として1920年、『快原理の彼岸』(旧訳語では『快楽原則の彼岸』。独: Jenseits des Lustprinzips)において、それまでの性の本能・自己保存本能の二元論から、生の本能(エロス:Eros)・死の本能(タナトス:Thanatos)の二元論へと転回した。
人間を含め生物はすべて、生の本能によっていっけん物事を作り出し、建設していくかにみえるが、その深層はつねに、それをぶち壊し無に回帰していこうとする死の本能に裏打ちされている。人間という種においては、いわゆる文明が、人間を人間たらしめる創造と破壊の対象である。
臨床的には、死の本能は反復強迫、陰性の治療反応、道徳的マゾヒズムなどのかたちで現れる。
ボディビルディング
芸術
原子力工学
グラフィックデザイン
楽譜
インダストリアルデザイン
太陽系
マラソン
風水
北海道
肥満
インディアカ
核医学
ゴルフ
性行為感染症
ポリマー
デング熱
電子工学
色素性乾皮症
農業工学
心的外傷 [編集]
その個体が心的に耐えられないほどの破壊や侵襲を受け、そのために生じた心的機能の破綻が、長いあいだ修復されることなく、その結果さまざまな悪影響を心身に色濃く残す場合、破壊や侵襲のもととなった出来事を個体にとっての心的外傷(トラウマ:Trauma)という。
犯罪や災害などに遭遇したときに起こる一回性外傷と、虐待的な家庭や環境(軍隊など)にずっといたことによる起こる累積性外傷とに大別される。心的外傷によって末永く個体に残る負の症状群を心的外傷後ストレス症候群(PTSD)という。
フロイトの初期の治療活動では、心的外傷はおおいに注目されていたが、やがて『夢判断』以降には、「こんなに外傷を受けた患者が多いわけがない。これはクライエントの幻想である」といったふうに、フロイトのなかで外傷概念に対する後退が起こった。ジャネが心的外傷の研究を続けたものの、1930年代は精神医学界を含めて、総じて心的外傷というものを集団否認している時代であった。やがて、第二次世界大戦やインドシナ戦争から帰還した兵士たちが戦争後ストレス症候群(ASD)などの症状を呈するにいたり、ふたたび心的外傷の研究が行なわれるようになっていった。
疾病利得 [編集]
病いであることから得られる利益。フロイトによれば、心的な苦痛を回避するために内的葛藤を抑圧し、その結果神経症のような症状へ逃避する第一次疾病利得(primary gain)と、疾病であることで周囲の者や社会から得られる同情・慰め・補償などを得る第二次疾病利得(secondary gain)とに分けられる。
精神療法では、これら疾病利得に由来する抵抗を解決し、患者の自我がふたたび現実に立ち戻れるようにすることが治療目標とされる。
心的決定論 [編集]
フロイトの「心の現象は、しべて無意識の心的な法則にしたがっている」という主張を心的決定論(psychic determinism)といい、これをもとに神経症、夢、失錯行為などの無意識の中での意味が明らかにされていった。